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【くるま家KOZO】の日々の活動を綴ってます。

K氏のクルマよもやま話 第二話

前回掲載させて頂いたエッセイはいかがでしたか?
訪れた事のないヨーロッパですが、イタリアとフランスだとイメージではイタリアの方が飛ばすイメージが有ったのですがK氏曰く、フランスの方がぶっ飛ばしてる人が多いそうです。

そう言われると、スーパーカー以外のフツーのクルマは高速で乗るとフレンチのクルマの方が高いスピードレンジを維持して長く走るのが苦ではなく、どこまでも疲れずに行ける気がするな・・・とむしろドイツ車よりも乗ってて気持ち良いかも!と思ってしまいます。。。

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・・・とCMは程々に、K氏のクルマよもやま話第二話『今日はアルファロメオのことを書いてみましょう』です。
 

今日はアルファロメオのことを書いてみましょう。
 若いころはずいぶん映画を見ました。とくにフランスのジャンリュック・ゴダールとイタリアのルキノ・ヴィスコンティが好きでした。ゴダールは「気狂いピエロ」と「軽蔑」が二大傑作ですが、二作とも赤いアルファのジュリエッタ・スパイダーが重要な道具です。
ヴィスコンティは広島なら浅野家のようなミラノの殿様で、というよりミラノですから徳川くらいの家柄の人。アルファのエンブレムはヴィスコンティの家紋なのですが、ヴィスコンティの映画にアルファはほとんど登場しない。「ロッコとその兄弟たち」でロッコが季節労働者としてアレーゼのアルファの工場に勤めるシーンがあるくらいです。昔の話ですから工員はもちろんアルファなんか持てません。市電で通勤するのです。
 ヴィスコンティの映画で印象に残る車は「熊座の淡き星影」で、トスカーナのヴォルテラの城主の娘が(クラウディア・カルディナーレです)運転してヴォルテラの坂道を登ったBMWのなんとかいう何百台かしか生産されなかったアメリカ向け超高級オープンカーです。そのシーンに惹かれて同じ坂を運転して上がったことがある。シトロエンのAXなので雰囲気もなく、あっけなかったのですが。
 
 そのころ漠然とアルファロメオの盾形グリルに憧れていましたが、1983年のある日、通りがかりにぼろぼろにアルファ錆の浮かぶ右ハンドルのジュリアの「段つき三本」のプライス四十万を見て驚いた。そのころどんな状態のジュリアでも百万以下では入手できなかったから。珍しく衝動買いしたくなり、動くのか車屋に聞いたら「実用にはなりません」と断裁なさった。でも実物大のブリキのおもちゃだと思って買いました。
 買ってみたら近所の用には使えるくらいは走りました。買ってしばらく、家人がやけどで数日入院し、その見舞いにジュリアで行く途中ジュリアもやけどした。冷却水のホースが抜け落ちているのを知らずオーバーヒートです。ジュリアも入院しヘッド研磨のついでにタイミングの調整、ブッシュ交換、コニダンパー、その他ほんのすこし手を入れたらたちまちスポーツカーに変じて驚いた。内外装はぼろぼろのままで。
 ボンネットを開ければDOHCカムカバーのそばにウエーバーの二連カーブレーター。シートに座ればヘッドレストもベルトもない小さなバケットが身体をすっぽり包み込んだ。
 そのころアルファに乗るのは愛人を囲うようなものという話もあり、確かに気難しい面もあったのですが、書けば一冊になりそうな良い思い出です。書いた火傷以外にレッカーで運ばれた記憶はありません。作家の五木寛之氏はジュリア(とくにスパイダー)をヴァイオリンに例えられましたが、弦楽器ならもうすこし太いチェロだとわたしは思う。
 
 ここでジュリエッタとジュリアの違いを説明しておきましょう。戦後アルファロメオが新しい車を開発したとき、車の名をジュリエッタにしました。言うまでもなくロメオとジュリエッタになぞらえたのです。ジュリエッタをモデルチェンジしたのがジュリアで、ジュリエッタのお姉さんの意味。「~エッタ」は「~ちゃん」の意味で、女の子が成長するとそれが取れてジュリアになる。女子から女になったというストーリーです。
 ジュリアのシリーズでマニアの人は「弁当箱」のTIを連想するかもしれませんが、ふつうジュリアといえばクーペのGTVです。グランツーリスモヴェローチェ。高速で行く大旅行。わたしの段つきはエンジンが1750に置き換えられていて、基本的に回すエンジンではなくトルク型の走り、足回りもストロークがあってしっとりとエレガントでした。カーブはよく曲がりました。
 ヨーロッパは日本とは根本で違う階級社会ですから高性能車は量産しない(できない)というコンセプトでしたが、それを初めて量産したのがアルファです。ヒットラーのライバルのムッソリーニ総統によって国有化され、ヒットラーがフェルデゥナンド・ポルシェ設計の国民車製造のためにフォルクス・ワーゲンを立ち上げたのとは対照に(競争といってもよい)、アルファは前後見境なく高性能車の開発ができたのでした。エンツォ・フェラーリが、技術主任でした。
 
 アルファ錆の浮かぶわたしのジュリアも、宗教的かつ高貴な雰囲気を持ち合わせていたものです。その点は現在のフィアット傘下のアルファとは根本が違います。
 ヘンリー・フォードがアルファの車の前では頭を垂れると言った話は単純に性能に対するレスペクトではないのです。
 
 わたしのジュリアの別れはあっけないものでした。あまりに見苦しいボディを軽くレストアしようと車屋に出したら、見積もりが安すぎて車屋さん途中でいやになったのか、ボディが裸にされたまま放置されたのです。その間何ヶ月も代車に初期型パンダを借りていましたが、これでいいやと思い、ジュリアと交換しました。「アルファとパンダを交換?」と言って驚く人も居ましたがわたしには自然なことでした。
 初期型のパンダです。ござのようなシートで、リアシートはハンモックでリアサスが板バネでラジオも何にもついていない空っぽの。グロス四十五馬力の。性格はジュリアの真反対。階級社会の最底辺です。だからこそダイアナ妃など高貴な方々は避暑地でひそかにパンダを自ら運転なさったらしいのですが。
 よく回るエンジンとトラックのような足回りで市街地ではカートもしくはフェラーリ状態でした。
 ジュリアが礼拝堂ならパンダはバカンス丸裸のキャンプでした。実際に裸のミニモークと違い、屋根も壁もある小屋のようなパンダは高貴な人にちょうど良かったのかもしれません。
 しっとりとしたジュリアには、また乗ってみたいなあと思うことがあります。

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