久しぶりの更新なので連投行きます!
先日、当店を開業する前からのお客様の一人で、車はもとより、舟や芸術に関しても楽しいお話を沢山お持ちで、ヨーロッパの国々も何度も巡っていらっしゃるダンディなシトロエンC5にお乗りのKさまより、とても素敵なお話を頂きました。
お話の内容は・・・自分がくるまに関するエッセイを書くからそれをホームページに載せる事でみんなに楽しんで貰いましょう! という申し出を頂きました。。。以前から何度も万年筆でしたためた素敵なお手紙を頂いて内容がとても面白いなぁと思ってましたので、私もとても嬉しくて、一も二もなくお願いしました!
今後このブログでご紹介させて頂きますので、楽しみにして下さい!マジで本にしたい位面白いです!
・・・と言うわけで連載第一回目は
『ヨーロッパをレンタカーで走る話』です。
海外でレンタカーを借りるとどんな車種になるかが楽しみです。
春休みに韓国釜山で借りたのはキアのK5という、コンサヴァですこし奇妙なセダンでした。
いまや韓国車は日本車の性能を超えていると評価するアメリカの雑誌もあるようですが、すこし前のアメ車のしっとり感(ねっとり感?)はあるので一部アメリカ人の評価ではそうかもしれない。見かけシトロエンC5にも似た中型セダンのK5のレンタカー代は韓国ウオン安もあり邦貨四千円くらいでした(一日二十四時間につき)。
この夏休みはタイのバンコク経由でイタリアとフランスに行きました。バンコク国際空港に着いてすぐ借りたレンタカーはホンダでした。一日六千円でしたがかなり大きな車で、フリードに似ていて違う気もするし走りもスポーティではない。海外で乗る車は日本ブランドでもよくわからない。昔アメリカで借りたマツダの車は見かけファミリアなのにたぶんV4エンジンを積んでいましたし。
バンコク国際空港から癒しの最果て感と美味を求めて田舎を走りましたが、バンコクの周辺は世界一車で走りにくいところかもしれない。水路はやたらあるのに道路が少ない。それでいて高速道路は多い。一般道は市街でも交差点がなく、つまり左右の分かれ道のない一本道が延々続いていたりする。やっと交差点が有っても日本と同じ左側通行で右折ができない構造が多い。行きすぎてUターンしたくても分離帯の壁でそれもできない。信号はやたら長い。おかしなシステムの国です。しかしそうやってたどり着いた田舎の広場の露店市で飲食するまったり感はなんともいえないものがありました。
イタリア、ミラノ北方のコモ湖は好きなところで何度か行きましたが今回も行き、これまで船移動でしたが今回はマジョレー湖にも行きたくレンタカーを。コモ駅構内にはエルツ(ハーツ)レンタカーがありましたが、雰囲気が嫌で駅を出たらAVISがあった。一日七千円だというピッコラを希望したら目の前に現われた車はピッカピカでまっかっかのチンクチェンティで驚いた。イタリアなので驚くことはないのでしょうが、レンタカーでチンクチェンティに乗れるとは思っていませんでしたから。
湖水地方の品格と気品のある貴族的なリゾートを走りました。当たり前すぎて言うまでもないがマニュアルミッション(クラッチがある)のチンクチェンティです。ちっちゃな車に妻と娘と小さなトランクに大きなスーツケースを乗せて湖畔のヴィラの続くワインディングを走る快感はなんとも言えずすごかった。幸福感百パーセントでした。伝統と品格のグランドホテルの前に駐めて絵になります。
クールに見れば大きさも走りもデミオに似ているかもしれない。でもマニュアルなので、ぶん回せばスポーツです。根暗なデミオといちばん違うのはデザインでとくに内装。真っ赤な鉄板の(じつはプラスティックでしょうが)内張りと古風で愛らしいメーターはワーゲンのニュービートルやBMWのミニに比べても一線を画す過激なレトロモダンな楽しさがある。日本では車格のわりに高価だといって売れていないようですが価格以上の価値があると思った。
ご承知の通りイタリアは道路が狭く、高速道路でさえ建設費をケチって幅の狭いところが多い。車の流れる様子はどこよりも日本と同じです。
パリに行くといつもダゲール通り(モンパルナス)のホテルですが、モンパルナス駅前のエルツでむかし借りて車旅行をしたことがあるので行ったら手続きが面倒で驚いた。おまけにこのユーロ安にコンパクトカー一日一万三千円と言う。三日借りる予定を四十八時間にして、カードを切る段になり税金やら保険やらで四万円。イタリアの三倍! 世界のハーツレンタカーなので、ぼっているわけではない。どうしてそうなるのかと思いましたが、盗難やらトラブルの多いパリだからかもしれません。
おまけに借りた車は内外装とも黒の「シボレー」のわけのわからない車でした。チンクチェンティと同じ車格なのに運転し走って哀しくなるような車。韓国のデイウの車かもしれない。
ブルターニュのサンマロからパリに帰るときの高速で、パリまであと五十キロのところで燃料計二目盛残っていたのがいきなりゼロの警告ランプになった。それでもパリまでは持つだろうと思っていたら大渋滞の壁に行き止まりました。五、六キロ先に高速の合流点があるのでそこまで続くのは確実。片側四車線の長いくだり坂の果てまで微塵とも動かない渋滞が見えて、ガス欠の恐怖で絶望的な気持ちになりました。天の恵みか出口ランプが百メートル先に見え、路側帯を走り大博打でそのランプから降りました。ほかに降りる車はなく、ヨーロッパでいちばん車を飛ばすのがフランス人なのに、辛抱強く大渋滞を我慢する彼らも不思議でした。
高速から降りて、民家もガスステーションもなかった。パリの方向と思う向きに淡い緑の広葉樹の森の中をひたすら走る。百キロの速度でまっしぐら。先に終わりがあるのかと言うような森は北海道みたいでした。この森の中でガス欠になったらと不安でした。
森を抜けたらランブイエでした。先進国サミットが開かれて有名になった城のあるところです。ガスステーションがあり満タンにしてホッとしたものです。
そこからベルサイユまではときおり信号機もあるのに制限百十キロという一般道で、大型店の並ぶ札幌郊外のようなところでした。スムーズにパリに向かうので、こんな道があるのにあの大渋滞にじっとしていた人たちはどういう感覚なのかと不思議でした。
世界中でレンタカー事情の最も良い国は日本とアメリカで、どこにでもあり、すぐに借りられて安い。日本はガスステーションもやたらあり便利な国。しかし日本を訪れる海外の旅行者は日本でレンタカーを借りることがない。車で走らなければその国のことは分からないというのが持論のわたしには残念です。
画像はイメージです。。。
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